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その後も、何人かに声をかけられたけれど、全て断ってしまった。
……何しに来たんだ、俺。
ビールのグラスもとっくに空だし、やっぱり帰ろうかな……。
そう思った、その時。
「一人で暇してるよな? ちょっと付き合えよ」
そう声をかけてきたのは四十歳くらいの、黒のタンクトップを着た角刈りの男だった。
口周りには髭がふさふさと生えていて、腕毛も濃い。
「いえ、もう帰るんで……」
ついていく意思がないことを、はっきりと伝えた。
しかし……。
「いいから来いよ!」
「わっ⁉︎」
腕を掴まれ、強引に引っ張られていく。
力が強くて、振り解けない。
一体、どこへ行くんだ……⁉︎
連れてこられた先は〝従業員専用〟という立て札が置かれた薄暗い通路だった。
そこには、俺を引っ張ってきた奴と雰囲気の似た男が複数人、ニヤニヤとしながら集っていた。
「お。いいの連れてきたじゃん」
「スタッフ、ほんとに来ねえよな?」
「大丈夫。見張りつけてるし、この店のスタッフ全員、やる気ないから。もし見られても何の問題もない」
……何の話だ?
ただならぬ雰囲気に身構えていると、俺を引っ張ってきた男から突然
「おい、服脱げ」
と言われる。
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