一夜限りの、温かさ。

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「は?」 「撮影してやる」 俺はいつの間にか、その男たちに囲まれていた。 男たちは皆、手にカメラやスマホを構えている。 「ちょっ、何⁉︎ やだ……っ!」 すぐに逃げようとするけれど、複数人がかりで身体を掴まれ、服を無理やり脱がされそうになる。 やだ、やだ……っ! 「だ、誰か助けてっ!」 必死になって叫んだその時だった。 男たち目がけて突然、大量の水が降りかかる。 何だ……⁉︎ 男たちが怯んだその隙に、俺の腕を掴んでいたその手を誰かが振り払う。 そして。 「こっちおいで!」 振り向いた先には片手にバケツを持った長身の男性がいて、彼は俺の手をギュッと握る。 突然のことに頭がついていかないが、どうやらこの男性が、男たちに水をぶっかけて俺を助けてくれたらしい。 男性は俺の手を握ったままその場から駆け出し、俺はそのまま店の外へと連れ出された。
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