2289人が本棚に入れています
本棚に追加
「さすがにここまで来れば、もう大丈夫かな」
息を切らしながら、男性がそう言う。
さっきまで、あの男たちがヤバい形相で追いかけてきていたけれど、しばらく走り続けて何とか撒いたようだ。
安心感で脱力して、薄暗い路地裏にぺたりとしゃがみ込んだ。
「怖かった……」
俺がそう呟くと、助けてくれた男性もゆっくりと腰をおろし、目線を合わせてくれる。
「もう大丈夫だよ」
優しい声で、そう言ってくれた。
……逃げるのに必死になっていたから、男性の顔をちゃんと見れていなかったことに今さら気付く。
前髪が少し長めの黒髪は、ストレートでサラサラしている。
二重で少し垂れている目元は、優しい印象。
鼻筋もスッと通っていて、唇は薄く、形が良い。
変な意味ではなく、かっこいい人だなと素直に思った。
最初のコメントを投稿しよう!