2289人が本棚に入れています
本棚に追加
「ゲイ、気持ち悪い……っ」
思わずそう口にすると、男性がゆっくりと口を開く。
「君は、ゲイじゃないの? じゃあ何で、あんな所に行ったの?」
俺は言葉に詰まり、すぐに返事をすることが出来なかった。
「もしかして、興味本位とか冷やかし? それなら、軽い気持ちであんな店に足を運んだ君にも責任があるよ?」
そう咎められた時、俺はようやく自分の気持ちを言葉にすることが出来た。
「違うっ、興味本位でも冷やかしでもない……っ!
誰でもいいから、抱いてくれる人を探してた……っ!」
感情が昂りすぎて思わず、涙が出てきてしまった。
そんな俺に、男性は再び優しい口調で話しかけてくれる。
「どういうこと?」
「……失恋したから……」
ーー好きだった人がいた。
幼馴染みで、いつも一緒に遊んでた男友達。
高校を卒業する頃、そいつのことが好きだという気持ちに気付いた。
それまでは女の子しか好きになったことがないし、他の男にドキドキすることもなかったから、俺はゲイではないんだと思う。
でも、どうしようもなく好きになった。
男を好きになったのは初めてだったけれど、自覚したその気持ちに不思議と違和感はなかった。
なかなか告白は出来なかったけれど、想いを伝えることをようやく決意した、一週間後。
俺の双子の弟が、そいつと付き合い始めた。
最初のコメントを投稿しよう!