一夜限りの、温かさ。

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「ゲイ、気持ち悪い……っ」 思わずそう口にすると、男性がゆっくりと口を開く。 「君は、ゲイじゃないの? じゃあ何で、あんな所に行ったの?」 俺は言葉に詰まり、すぐに返事をすることが出来なかった。 「もしかして、興味本位とか冷やかし? それなら、軽い気持ちであんな店に足を運んだ君にも責任があるよ?」 そう咎められた時、俺はようやく自分の気持ちを言葉にすることが出来た。 「違うっ、興味本位でも冷やかしでもない……っ! 誰でもいいから、抱いてくれる人を探してた……っ!」 感情が昂りすぎて思わず、涙が出てきてしまった。 そんな俺に、男性は再び優しい口調で話しかけてくれる。 「どういうこと?」 「……失恋したから……」 ーー好きだった人がいた。 幼馴染みで、いつも一緒に遊んでた男友達。 高校を卒業する頃、そいつのことが好きだという気持ちに気付いた。 それまでは女の子しか好きになったことがないし、他の男にドキドキすることもなかったから、俺はゲイではないんだと思う。 でも、どうしようもなく好きになった。 男を好きになったのは初めてだったけれど、自覚したその気持ちに不思議と違和感はなかった。 なかなか告白は出来なかったけれど、想いを伝えることをようやく決意した、一週間後。 俺の双子の弟が、そいつと付き合い始めた。
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