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『僕とキーロ』の抵抗
どうすれはよかったんだろう。
あの蛇は無理だ。『口だけ女の子』も花子さんたちも、これまで僕が会った怪異は一応みんな会話ができた。
でも、蛇は、最初から僕と交渉する気はない。そして、サニーさんもキーロさんを逃すつもりがない。
幸いなことは、今回はナナオさんは巻き込まれていないことか。
ナナオさんには昨日は先に帰ってもらって、今日の放課後に相談する約束をしていた。でも、なんて話をしていいのかも見当がつかない。キーロさんが殺される? その後には僕も? ナナオさんは絶対止めようとする。僕はもうナナオさんを巻き込みたくない。
授業中、何処かで間違えたのか、なんとかする方法はないのか考え続けていたら、昼休みの初めに藤友君が話しかけてきた。
「お前、またわかりやすく呪われたな」
ぼくはびくっとして藤友君を見る。
「なんでわかったの」
「それ、昨日までなかった、そっからすげぇ嫌な感じがする。……リスク、考えなかっただろ」
藤友君は机の上で右腕を枕にしながら、ぼくの左手首のアザを指差して言う。
図星な藤友君の言葉に僕は思わず手首を隠す。藤友君は僕の様子をじっと見て、口を開いた。
「別に責めてないし、やっちまったことは仕方がない。この前も言った通り、手伝いはしないが、相談だけなら乗るぞ」
確かに、藤友君の目からは僕を心配するような感情しか感じなかった。
「飯食いながら話そう」
藤友君はさっさと教室を出た。僕は追いかける。
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