『僕とキーロ』の抵抗

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それから、蛇の性質に話がうつる。 「その、蛇の怪異に弱点はあるか? また、物理的に攻撃をするとすればなにがいい? 刃物、とか、鈍器、とか」 「弱点かわからないけど、目は悪いみたい。あとは寒いところは苦手。うろこはとても固いから、刃物よりは鈍器のほうがいいだろうって」 「なるほど、普通の蛇と同じような特徴を持つのか。ピット器官、温度を感知する能力はあるか? あと、毒はあるかな」 「温度でも見分けているみたい。毒は知らないって」 「そうか。ありがたい。それを前提にもう一度考えよう。ピット器官をもつならおそらく出血毒も持っていると考えたほうがいいだろう。あれは……いや、そもそも怪異だ。どんな毒を持っているかわからないな。捕まると恐らく逃げられない。接触はNGか……」 藤友君は口元に手を当てて、もう一度考え始める。僕の事なのに、僕は全然役に立ってないな……。 僕と藤友君はいろいろ話し合って、おおよその方向性について検討した。 「あとは、どれだけ成功率をあげられるか、だな。その蛇とサニーが話したことをなるべく詳しく話せ」 僕はなるべく正確に思い出して藤友君に話す。途中から藤友君は不快そうに顔を歪める。 「ろくでもねぇな。ただまぁ、お前が舐められてることは十分わかった。東矢、……そいつに捕まるなら、死んだほうが楽だぞ。花子さんの時とは全然違うからな? キーロが殺されるところにうまく入ればうまく死ねる可能性はある」 「僕も捕まりたくないよ。でも、比較楽に逃げるだけならまあ、なんとかなると思う、僕は僕のためにキーロさんを危険な目に合わせたくない」 藤友君は微妙な顔をした。そもそもキーロに巻き込まれたんだろ、という視線。でも、そもそもを言うと、僕が新谷坂の封印を解いたからキーロさんが危険に陥っているんだ。順番は逆なんだ。 僕は体の半分以上はすでに新谷坂に封印されている。昨日試したけど、封印に入ることはできそうだった。蛇の呪いも作動しなかった。僕が封印に逃げ込んで全部封印されてしまえば、少なくともヘビにつかまって殺されることだけは防げるような気はする。まあ、呪いが解除されるものなのかもわからないし、全部入っちゃうと封印から出られなくてそのまま死ぬかもしれないけど。
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