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少年の願いに哀れげな響きが混じる。残念ながら、それは蛇には逆効果だ。
私は正直、少年には同情していたし、感謝もしていた。少年の願いならばなるべく叶えてあげたい。どうせあと1人だ。少なくとも妹を殺した3人のうち2人は苦しみを与えて殺すことができた。キーロは参加者の中で一番人を殺しそうなタイプからは程遠かったし、無関係の可能性は高いんだろう。グループLIMEでもブレスレットには反応していたけど『向日葵』の柄には反応がなかった。それならまあ、私の手で殺せれば、それで妹の復讐は果たされるように思えるし、区切りにもなる。
ただ、蛇を説得するのは無理だ。少年の言葉でより興奮している。吐息が少し熱い。
「私は別に、キーロが殺せればそれでいいわ。でも、あなたは無理でしょうね」
「痛いのは嫌……」
声にさらに絶望が混じる。ああ、だから逆効果なのに。背中からしゅるしゅると音がする。蛇はこの会話をとても楽しんでいる。
「……僕……苦しいのは嫌で、いっその事と思って昨日……死のうとした。でもナイフが刺さらなかった。だからもう、サニーさんにお願いするしかなくって。キーロさんも苦しむよりは自殺するって毒を口に含んでる」
自殺、という言葉に再び足が止まる。それは、困る。
「でも、キーロさんは僕を巻き込んだからって言ってくれて、サニーさんが僕とキーロさんが苦しまないように殺すよう蛇に頼んでくれるなら、キーロさんはサニーさんに殺されてもいいっていってる」
その懇願するような、ひどく哀れげな声に蛇はシューシューと音を立て、ぽたぽたと唾液を垂らす音がした。小さな声が聞こえる。
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