『4人と1匹』の作戦会議

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「これで蛇の攻撃を蛇自身に跳ね返す。ただ、この札は弱点があるんだ。東矢にしか使えない」 さっき藤友君でも実験したけど使えなかった。この札は封印のために『彼の方』が作った物で、僕が使えるのは半分以上封印されてるからだと思う。理屈はやっぱりよくわからない。 「実験の結果、札は少なくとも同等以上の威力を相手に返した。だが、蛇と東矢はもともとの強さがケタ違いだ。蛇を倒すことを考えれば、おそらく東矢が一撃で死ぬような攻撃をあてないと難しいだろう」 ごくり、と息をのむ。 「だからキーロさんが襲われるときに東矢が一緒にいて、キーロさんを攻撃させずに東矢を攻撃させないといけない。ただ、蛇は東矢を簡単に殺すつもりはないから、うまく東矢とキーロさんを誤認させないといけない。前提として、敵に優先順位を変更させる必要があるだろう」 「ハルキの言うことはさっぱりわからん」 僕もナナオさんに同意。ちなみに、僕とナナオさんは並んでベッドに腰掛けている、近い。ちょっとだけドキドキ。 藤友君はどう説明したものか、と口元に手を当てる。 「いま必要なのは、蛇を殺せるような致死の攻撃を反射の札で受けることだ。少なくとも蛇を動けなくして、鈍器か別の札でとどめを刺す、これがこちらに必要な行動。次に敵の予定。敵は今、最初にサニーがキーロさんを苦しめて殺し、次に蛇がサニーを苦しめて殺し、最後に蛇は東矢を捕らえて苦しめようと考えている。ここまではいいかな」 僕らはうなずく。それはなんとなくわかる。わかりたくないけど。 「キーロさんが生き残るためというのもあるけど、キーロさんが襲われるときに蛇を嵌めないとこの作戦が成立しない。なぜなら、蛇はサニーと一体化してるから、いつでもサニーを殺せる。蛇は東矢を楽に殺したくないから、東矢だけ残れば致死の攻撃をするはずがない。今のタイミングを逃せばだれも助からない」 「だから今が蛇をハメる最後のチャンス。ただし、今の敵の計画では、結局キーロさんを苦しめて殺すことが前提だから、そのままでは致死の攻撃はこない。だから、キーロさんを即死させないと目的が達成されない状況、そして即死させたいと思う状況に持ち込む」 クッキーを片手にキーロさんがものすごく嫌そうな顔で手を止める。 「具体的には、サニーにキーロさんを即死させないと目的が達成されないと思い込ませ、蛇にはキーロさんをすぐにでも殺したいと思わせる」
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