『4人と1匹』の作戦会議

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「それじゃ、次は作戦決行における注意事項のすりあわせをしようか。時間があまりないからな」 「注意事項?」 藤友君はさっさと話を進める。 「東矢に攻撃を当てるには東矢とキーロさんを誤認させないといけない。それは可能なのか。蛇はもともとほとんど目が見えない。だから東矢とキーロさんを視覚で見分けない、東矢、『よっち』が死んだ路地は真っ暗だったんだろ?」 「うん。ただでさえ暗かったところに何か闇が積み重なって結界になってた。何かが動いているくらいしかわからなかったよ」 「なら、おそらくサニーも視覚を重視していない。暗いところで待ち受ければ、視覚はごまかせそうだ。もし懐中電灯を持ってきてたら、まあ、運がなかったと思ってあきらめるしかないな。後はどうやって他の五感をごまかすかか……。蛇は舌で臭いを判別している。東矢は顔舐められたんだろ? ばっちり臭いを覚えられてるから少なくとも塩水で水垢離でもして臭いを除去するとか、なにか香料でもかけておくのがいいかな」 お塩。そんなにあったかな。ミント系の制汗剤はあった気がする。 「音については……、蛇は皮ふでも音を感じるから、なるべくごまかせるところはないかな」 「僕に心当たりがある。新谷坂山のふもとに洞窟がある。そこだと凹凸もそれなりにあるし、音が結構ハウリングするんだけど、どうかな」 最初、蛇を待ち受ける場所として、井戸の底に隠された新谷坂の封印のふたの上を考えた。でも、封印するには一番だけど、蛇は警戒して入ってこないと思った。ふたは井戸の底にあって入り口が一つ、僕らが死ぬか弱るまで待ってから入ってくればいい。 僕はニヤと相談した結果、2番目に蛇を封印しやすい場所として、以前新谷坂山に封印されていた『口だけ女』が封印から逃げ出すときに開けられた新谷坂山の横穴を使うことにした。蛇は封印から出るときは井戸の底から出たから、この横穴は恐らく知らないだろう。ここであれば、封印に接していて怪異の再封印がしやすく、万一僕が蛇に囚われそうになった場合はキーロさんと一緒に封印に逃げ込みやすい。 「悪くないかもしれない。少なくとも人の耳はごまかせそうだ。サニーと蛇が入ってきたら、極力動かず振動を発生させないほうがいいかな。動き方でばれるとまずいから。それから、におい避けに入り口に蛇用の忌避剤をまいとくのもアリだな。あと蛇に特殊なのは赤外線センサー。丁度二人とも同じくらいの背丈だから、なんとかごまかせる気はする。なるべく大きめの似た服を着て体型をごまかそう」 僕とキーロさんはうなずく。
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