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「サニーさん」
少年は私にそう呼びかけたが、どことなく何かを迷う気配を感じた。
私は瞬きをして、続きを待った。しばらくして、あまり感情のこもらない声がした。
「サニーさん、僕とキーロさんが勝った」
「……そうね」
私から蛇が抜けていくうちに、いっしょに毒気とピクルスたちに対する怒りも抜けていくような気がした。なんとなく、私の妹を殺した奴らは、殺した時の反応からも、もう殺し尽くした気もしていたし。負けてしまったことで私の区切りもついた気がする。
「だから、サニーさんには2つの選択肢がある。ここは新谷坂山の封印の入り口。蛇は今僕が再び封印した。サニーさんはどうしたい? 一緒に封印される? それともこのままがいい?」
封印……そういえばさっきそんなこといってたわね。
「封印されるとどうなるの?」
「よくわからない。僕も半分以上封印されてるけど、なんていうのかな、粘度の高い液体みたいなのの中でずっとうつらうつらしている感じ。そんなに悪いものでとないと思うけど、封印されたら、もう一度封印が解放されるまで、外には出れない」
それから、と声は続ける。
「そのままでいいなら、蛇の部分だけ封印されて、サニーさんだけここに残る。6/7食べられたってことだから、1/7だけ残る。どこが残るかは知らないけど、多分死んじゃう」
「別に死ぬ分にはかまわないわ。もともと死ぬ予定だったし。……倒れたのはキーロだったのね。大丈夫かしら。蛇は動けなくするだけの毒が好みだったみたいだから、多分大丈夫だと思うけど、どのくらいで効果が切れるのかはわからないわ」
「そう、教えてくれてありがとう」
こつこつと足音が近づいてきて、わたしの隣に座り込むのがわかった。
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