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「怒ったり疑ったりしないの?」
「怒るかどうかは、まあなんていうか、お互いさまだよね、キーロさんは怒ってるかもだけど。あ、そうだ、キーロさん、呼吸は普通だったし多分大丈夫。それに僕の友達は、蛇が毒を使うとしても、僕を長くいじめるために、最初はごく弱いものだろうっていってたから」
「……あなたの友達もろくでもないわね」
「でも友達がいないと僕らは負けてたから」
日はとうに暮れていて、見あげる天井は真っ暗で、何も見えないし、声は岩棚に反射してどこから聞こえているのかはよくわからない。けれど、少年が隣にいるのは気配でなんとなくわかった。
「私、妹を海に投げ捨てたのはピクルスたちだと思うけど、殺したの自体は蛇の可能性もあるかなとも思ってた」
「タイミング良すぎるもんね、サニーさんも蛇に呪われてたのかも」
「どうかしら。でも、一目見て蛇には勝てないことはわかったし、利用して復讐しようとした」
あなたが蛇への復讐も肩代わりしてくれた。
「そう」
「怒らないの?」
「さっきの友達が、『大切なものは、他人に理解されるかどうかは関係ない』っていってた」
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