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TO: NAOTO FROM: AYAKA
木崎尚斗くんへ
この高校に入って気が付けば一緒にいたね、尚斗。忘れっぽいあたしが教科書を忘れるたびに一緒に見せてくれて。それは、今も変わらないけど、気づいてた?あたし、ときどきわざと忘れてたんだよ。尚斗の横顔が見たくて。
尚斗の隣を死守したくて、くじ引きのトレードをしたのは数えきれないほど。クラス中にバレバレなんだよ、あたしが尚斗を好きなことは。なのに、なんで気づいてくれないの?なんで、「彩香は好きなやついないの」なんて聞くの?
体育祭、二人三脚でペアになったね。一位になって、やったぁ、って抱き合った時のドキドキ、あなたは気づいていないんだろうな。あなたにとって、あたしって何?男友達と変わらない仲間?
切ないよ・・・尚斗。ついに、あなたは彼女を作っちゃったね。あたしは、気持ち、伝えられないままだった。隣の女子高の彼女は、同じバスで毎日通ってただけで、尚斗のハートを鷲づかみにしてしまったんだね。「どう思う?」なんて、聞かないで。友達なんて、つらいよ。あたしにとって尚斗は、「友達以上」だよ。
だから、この手紙、書いてます。玉砕覚悟、っていうか、やっぱ、だめだよね。あの娘が好きなんだよね。尚斗の一番近くにいたと思っていたけど、「一番」じゃなかったんだね。
この手紙にあたしの想い書いたら、なんだかすっきりしました。このまま捨てよう、とも思ったけど、、それじゃ、あたしの心、可哀そうで。明日、一番に渡します。帰ってから読んでね、っていうつもり。どうか、その通りにしてくれますように。そして、読み終わったら、あなたの好きなようにしてください。取っておいてくれてもいいし、びりびりに破って捨ててくれてもいい。あの娘のこと話すあなたは、本当に嬉しそうだから。
これからもあなたの友達として、隣にいさせてね。
内藤彩香
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