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オレの意識が遠退こうとした時、背後からパシッと叩かれた。
「あきらめついた?」
同じクラスメイトの桜だ。
「もうカナこんなやつ放っておいて、こっちきなよ」
「うん」
カナは桜に言われて、教室で雑誌に盛り上がってる女子の輪の中へと溶け込んでゆく。
そして、カナを見送った桜がオレに向かって言った。
「カナはね、めっちゃメンクイなの!
知らなかったん?」
「知ってるよ…」
「あんたみたいなジャガイモが何回告白したって、振り向くわけがないじゃん」
「ジャ、ジャガイモ?!
ひどい言い方やな。
オレさー、今、カナに振られたんやで?
少しは優しくしてくれてもいいんじゃねぇー?」
「ふん、今年3回目やろ?
もうそろそろ免疫ついたんちゃう?」
…そーですよ。
ジャガイモですよ、オレは。
美系から程遠いのは、桜なんかに言われてなくても知ってる。
分かってる。
でも、そんなオレにでも優しく話しかけてくれたり、美人なのに気取らない、カナの性格にも惚れてるや~。
イケメンじゃないってはっきり言うところも、好きなんや!
女子の輪の中で笑ってるカナの顔を見ながら、オレは大きなため息をついて、とぼとぼと自分の席へと戻った。
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