April

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リカはガサツな私とは違ってお淑やかで、美人で、しっかりもしてて……。佐々木と付き合う前にも何度か告白されてたのを知ってる。 そんな彼女を振った奴が、 「また一緒だなっ。ヨロシク!」 今、私の隣の席にいる―。 隣の席は、佐々木明彦。 私とは中学からのクラスメイトで、野球部のエース。そして、リカを振ったご本人。 高2になってクラス替えがあったけど、佐々木とリカと私はまた同じクラスになった。 私の姓が杉本で、だから佐々木とはいつも出席番号が近くて、新しい学年ではたまたま席が隣りになった。 「うん、また一緒だね。  それより佐々木。 …あのさ」 「森野からー、聞いたんだろ?」 「う、うん。」 佐々木は私が何を言おうか分かったらしく、私から視線を外し、机に肘を立て、ぶっきらぼうに言った。 「2人の事だからっ」 「う、うん。  そうだね…」 『2人の事』って言われて、私はまたリカの事がうらやましく思えた。 いい話ではないのに、自分でも不思議だ。 別れたはずなのに。 別れたのに。 『2人の事』って言われると、佐々木と私の距離を感じた。
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