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リカはガサツな私とは違ってお淑やかで、美人で、しっかりもしてて……。佐々木と付き合う前にも何度か告白されてたのを知ってる。
そんな彼女を振った奴が、
「また一緒だなっ。ヨロシク!」
今、私の隣の席にいる―。
隣の席は、佐々木明彦。
私とは中学からのクラスメイトで、野球部のエース。そして、リカを振ったご本人。
高2になってクラス替えがあったけど、佐々木とリカと私はまた同じクラスになった。
私の姓が杉本で、だから佐々木とはいつも出席番号が近くて、新しい学年ではたまたま席が隣りになった。
「うん、また一緒だね。
それより佐々木。 …あのさ」
「森野からー、聞いたんだろ?」
「う、うん。」
佐々木は私が何を言おうか分かったらしく、私から視線を外し、机に肘を立て、ぶっきらぼうに言った。
「2人の事だからっ」
「う、うん。
そうだね…」
『2人の事』って言われて、私はまたリカの事がうらやましく思えた。
いい話ではないのに、自分でも不思議だ。
別れたはずなのに。
別れたのに。
『2人の事』って言われると、佐々木と私の距離を感じた。
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