10/46
前へ
/642ページ
次へ
勝哉さんも一人暮らしか…… 家に帰って来てから色々と考えていた 朔夜は憂君が高校を卒業したら彼と同棲すると言っていた 同棲…… 私も勝哉さんと一緒に暮らせたらどんなに幸せな事だろうか 月2回程はここに泊まりに来てくれる勝哉さん 本当なら毎日でも会いたい だけど私は家庭教師のバイト、勝哉さんは深夜のバイト 会える時間は本当に限られていて…… はぁ それから次の日、夕食を食べに帰って来ないかと親から連絡があった 久しぶりそんな事を言われたから何か特別な事でもあっただろうかと考えてみたが何も思い浮かばない 誕生日…… いや、両親とも夏生まれだ となると思い浮かぶのは……うーん、父が昇進したとか? 「どうしたのそんな難しい顔して」 「え?」 大学の講義が終わってから朔夜が話しかけて来た 「難しい顔してましたか?」 「うん」 「それは無意識です。いや、今夜親から夕食に呼ばれまして……」 「夕食?」 「ええ、久しぶりに呼ばれたので何だろうと少し考え事をしていました」 「ただ単に尾澤と一緒にご飯食べたいだけじゃない?」 「まぁそうだとは思いますが……ははっ何やら妙な予感がしてまして」 「考え過ぎじゃない?」 「だといいんですけど」 引っ越したばかりの時は母親がよく夕食に呼んでくれていた だけど最近は全くだったから…… そうだな、朔夜の言う通り私は考え過ぎなだけなのかも知れない 「そう言う朔夜もどこか元気がないように見えますが?」 「俺?んーまぁね」 珍しく元気が無いと認める朔夜 「憂君の事ですか?」 「うん」 「貴方の感情は全て憂君で左右されますからね」 「憂は俺の全てだから」 そう言いながら苦笑いする朔夜 また喧嘩でもしたのだろうか…… 「自分が手を出せない領域があるのって本当にもどかしくて苛々するよね」 「え?」 「ううん何でもない。じゃあ俺帰るね」 「え、ええ……」 深い溜息を吐きながら気怠そうに朔夜は帰って行った 手を出せない領域…… 何の事か分からないが朔夜も何やら悩んでいるみたいだ 取り敢えず私も一旦帰ってそれから実家に行くか…… .
/642ページ

最初のコメントを投稿しよう!

710人が本棚に入れています
本棚に追加