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それから夜実家に帰り、ダイニングテーブルで両親と向き合って食事をしていると父からこう聞かれた
「孝浩は今お付き合いしている人はいるのか?」
「え?」
父からそんな事を聞かれたのは初めてだった
「孝浩ももう大学2年だ。彼女の1人ぐらい出来ていたっておかしくないだろう。何せ高校は男子校だったし」
「まぁ……」
「それに一人暮らしに慣れて来てからはこっちに顔を出す事も余りないし、大分前から孝浩の雰囲気も違っていたから実はそう言う相手でもいるんじゃないかって母さんと話していたんだ」
「そ、そうですか」
食べ進めていた箸が無意識に止まってしまった
私は今、物凄く動揺している
きっとそれは両親にも気付かれている
「どんな女性なんだ?いつからお付き合いをしているんだ?」
「…………」
そうか……
「孝浩?」
私が感じた妙な予感はそう言う事だったか
「お付き合いしている方は……」
今日がその日だったんだな
「その前に、私の話を聞いて下さい」
私が同性愛者だと両親に打ち明ける時が遂に来たんだ
「ん?どうしたんだ?」
不思議そうに私を見つめる両親に思わず手が震えそうになった
大切な両親に嘘はつきたくない
だけど、打ち明けるならきっと今この時しかないんだ
勝哉さん……っ
「私は……同性愛者です」
父の目を真っ直ぐに見つめ、私はその言葉をはっきりと口に出して言った
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