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「こんな時間にてめぇーから呼び出しなんざスゲェ珍しいな」 「そうですね。すいません」 「ああ?」 連絡をすると、直ぐに私のハイツまで駆けつけて来てくれた勝哉さん バイト中だと思いながらもダメ元で連絡したのだが…… 「今日は休みだったのですか?」 「あ?んな訳ねーだろ」 「え?」 「仮病使って早退だよ!」 「本当にすいません」 「今更謝んな」 「…………」 「お前からの滅多とない呼び出しだ。気にすんな」 そう言いながら私の頭に手を置いた後、勝哉さんは部屋の奥へと入って行った 「で?俺を呼び出した理由は何だ?」 「先程両親に私が同性愛者だと打ち明けて来ました」 「……で?」 微動だにせずいつも通りな反応をする勝哉さん 「反対でもされたか?」 「いえ……ですが直ぐには受け入れられないと言われました」 「まぁそーだろうな」 「はい」 「…………」 ポケットの中から煙草を出し勝哉さんはベランダに出た 「勝哉さん、灰皿を忘れていますよ」 「あ?おー悪りぃ悪りぃ」 灰皿を受け取った後窓を閉め勝哉さんは背中を向けた 本当この人は…… 全くもって普通な態度の勝哉さんにはいつも本当に感心してしまう 窓越しで煙を吐く勝哉さんの背中を見つめ深く溜息を吐いた 「さみぃ!!」 煙草を吸い終わり体を震わせながら勝哉さんが中へ戻って来た 「おーお前あったけぇな」 「か、勝哉さん?」 急にぎゅーっと抱き締められた 「まぁ万が一親に縁切られようが何だろうが理解してくれてる奴は他にもちゃんといるからよ」 「……はい」 「てめぇーは1人じゃねーって事忘れんじゃねーぞ」 「はい」 口数は少ないが、勝哉さんなりに私を慰めてくれようとしているのがよく分かる ぎゅっと勝哉さんを抱き締め返し、私は彼の胸に顔を埋めた 「っつー事で俺高校卒業したら一人暮らしするわ!」 「……そうですか」 「お前と同じハイツにな」 「え?」 「同棲すんのは無理なんだろ?んなら近い距離にいればよくね?」 「ははっ全く………………っ」 同棲が出来ないのであればせめていつでも会える距離に…… 彼の優しさは私の涙腺を本当に刺激してくれる もし男性との交際を認めて貰える事が出来たら、真っ先に両親に勝哉さんを紹介しに行こう .
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