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時期は受験シーズン真っ只中 俺と勝哉さんはそんなの関係ないけど、颯太はかなり気が立っていた 「やべぇ遂に今週受験だ……」 受験生の前では落ちるとか滑るとか言ってはいけない説って本当なのかな 「……おっ!おいチビ助そこに落ちた煙草拾ってくれよ」 『ちょっ!先生に見つかったらヤバいですって!停学ですよ!?』 「あいつらは黙認してっから大丈夫だよ」 『もう……教室の中で煙草なんか落とさないで下さいよ』 「…………」 俺達の会話を聞いていた颯太がプシュ〜っと床にぐずれ落ちた 「落ちたらマジでどうしよう……浪人なんてなりたくねーよ……マジで親にブチ切れられるし絶対に浩介君にも呆れられちまうよ」 やはり受験生の前では言ってはいけない言葉みたいだ 『大丈夫だって!何やかんや言いながらお前ちゃんと勉強してるし落ちた所で浩介君だって呆れたりしないって。優しい彼氏なんだろ?』 「お前励ましてるようで全然励みになってねーからなそれ」 『え?』 「まだ受けてねーもんうだうだ言ったって仕方ねーだろが!!俺を見ろ!!計5年も高校やってんだぜ!?すげぇーだろ!!?」 「勝哉さんは話の内容の次元が違い過ぎますよ。しかも自慢する事じゃ……」 「ああ!?んだてめぇ人が折角慰めてやろーとしてんのによぉ。おお?」 慰めてやると言う勝哉さん や、颯太はまだ受験すら受けてない 自分だってさっきそう言ったくせに相変わらず言ってる事めちゃくちゃな人だ 「チビ助は卒業したらあの変態と同棲すんのか?」 昼休み、体育館裏に連行された俺は勝哉さんからそう聞かれた 『はい、そのつもりです』 「ふーん」 『勝哉さんは……えっと、卒業したらどうするんですか?俺は今のバイト続けてフリーター生活ですが』 「俺もフリーターじゃね?まぁ適当に紹介でどっか入る手もあるけどな」 『どっか?』 「工場勤務やら物流やら建設やらその辺りじゃね?ババアの知り合いのツテでそっちに入ってもいいしなぁ」 『コネ無しで就職するのも難しいって言いますもんね。しかも高卒だし』 「まぁな。使える奴がいれば使えばいーんだよそんなもんは」 『そうですね。じゃあずっと実家にいる感じですか?』 「ああ?あんなバケモン屋敷とっとと出るっつーの」 バケモン屋敷…… 何の事か分からないがまぁいいや 『あ、じゃあ勝哉さんも尾澤会長と同棲する感じなんですねっ』 俺がそう発した瞬間、草むらから急に奴が飛び出して来た 「勝哉先輩が同棲!?」 『うわっ!!!』 曽我ッッ!! 「おーお前何か久しぶりじゃねーか」 プカプカ煙草を吸いながらそう言う勝哉さん あ、勝哉さんも久しぶりの曽我なんだ 最近静かだと思ったら…… 「教官からの指令が多くて忙しくて……ってそんな事はどうでもいいんです!!勝哉先輩、同棲って一体どう言う事ですか!?まさか淫乱会長と……!?」 「ああ?」 「同棲なんてとんでもない!!卒業しないで下さい勝哉先輩!!!」 「うるせぇ!!!」 2年もタブってる勝哉さんに何て事言うんだこのアホは 「ですが同棲は大反対です!!あんな淫乱会長と一緒に暮らすなんて勝哉先輩の身が危な過ぎますよ!精気を全て吸い尽くされてしまいます!!」 「同棲なんかしねーっての」 『え!?しないんですか!?』 「ああ?」 つい俺まで反応してしまった 「俺と勝哉先輩が話しているのに割り込むなんて本当に性悪ですね二股先輩」 むむっ 『いやいや元々俺が勝哉さんと先に話してたっての。割り込んで来たのはお前だろが』 「相変わらず先輩のくせに後輩に威張り散らして恥ずかしい人ですね。俺が勝哉先輩の事を愛しているって知ってるくせにわざと仲良さげに見せ付けやがってこの糞が」 『…………』 糞…… 糞に糞って言われてしまった 「てめぇーら俺の取り合いは他所でやれよ。ったく仕方ねーちびっ子共だな」 『や、誰も取り合ってなんかないですよ』 「ああ?んだてめぇ随分と偉そうじゃねーかチビ助」 『え!?や、偉そうだなんてそんな……っ』 本当、曽我が絡むといつもややこしい…… .
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