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『チョコ!!』 朔夜が作ったトリュフチョコ めちゃくちゃ美味そうで直ぐに口の中がよだれでいっぱいになった 「ついでにこれも」 そう言って目の前に置かれたのは…… 『チーズケーキ?』 「うん、憂チーズも好きだから」 『すげぇ!!美味そう!』 ほんのり焦げ目のついたベイクドチーズケーキ 「憂のチョコは?」 『食う?』 「勿論」 『……笑うなよ』 そして鞄から箱を取り出し朔夜に差し出した 俺と颯太が作った生チョコ…… 固まったチョコを切る時に包丁にチョコが引っ付いて本当に切るのが難しくてガッタガタのボッコボコになった歪な形の生チョコ 本当に幼稚園児が作ったような粘土細工みたいなんだ…… いや、幼稚園児の方が上手だ 「真っ白だね」 『うん。シュガーパウダーってやつ』 「じゃあ頂きます」 『俺も頂きます』 お互いに相手の手作りチョコを食す さ、朔夜の手作りチョコやばうまッッ 「……甘っ」 『甘過ぎた?』 「珈琲が飲みたくなるね。ちょっと入れてくる」 そう言って朔夜はキッチンへ…… 「ほらほら、また口の周りがチョコまみれ」 『むぐぐっ』 口の周りを朔夜に拭き取られるガキな俺 「本当手が掛かる子」 『…………』 「憂?」 『うん、ごめん』 「…………」 俺の手にそっと触れ、朔夜は言った 「また思い悩んでる?」 『……うん』 「言いずらい?」 『まぁな』 「俺に何か出来る事はある?」 『……いいよ。朔夜にはして貰ってばっかりだ』 「俺がしたくてしてるんだよ。……重い?」 『ううん。嬉しいよ』 そう言い、俺はぎゅっと朔夜に抱きついた 『母親に会ってからちょっと頭の中がごちゃごちゃしてて本当色々余計なことまで考えちゃって……ごめん』 「うん」 『大丈夫、もう少ししたら落ち着くと思うから』 「何かあれば直ぐに言って」 『……分かった』 無理矢理聞いてこようとはしない朔夜 本当に優し過ぎてまた泣きそうになる 「はい、あーん」 『むぐぐっ』 「美味しい?」 コクコクと頭を縦に振り返事をした チーズケーキを口に入れられチョコの美味しさとはまた別の美味しさが口の中に広がった 「憂のチョコも俺に食べさせて」 『…………』 複雑で甘過ぎるバレンタイン これ以上朔夜に心配掛けないように、考え込み過ぎてしまう性格を早くどうにかしなくちゃ…… .
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