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「…………」 「……」 「………………」 部屋の中に入り父と顔を見合わせた だけど、本当に気まずくて…… この感じは以前経験した事がある 勝哉さんのお姉さんにアレを見られた時と同じだ 何か用があってここに来たんだろうがまさかあのタイミングで…… 「先程はすいませんでした」 「いや……君は確か前に家の前で会った子だね?」 「うっす」 「…………」 テーブルを挟み父さんと顔を合わせている勝哉さんは真っ直ぐと視線を合わせていた 流石だ…… 毎度ながらこの人は本当に肝が据わっている 「孝浩さんとお付き合いさせて貰ってるっす。どうぞ宜しくお願いします」 「か、勝哉さん?」 突然そう言って父に頭を下げた勝哉さんに動揺を隠せなかった 「……君は確かまだ高校生じゃなかったのか?」 「はい。ですがもう少しで卒業っす」 「進学は?」 「しないっすね。何せ自分5年も高校生やってるんで」 「どうして5年も?病気か何かで休学していたとか……」 「いえ、普通に留年っすね」 「……確か孝浩と同じ年齢だと言っていたね。どうして2回も留年を?」 「想像通りっすよ。正味俺見た目悪りぃしそのまんまっす」 「…………」 父さんの質問に答える勝哉さん 「孝浩」 「……はい」 「あの時からこの方とお付き合いを?」 「はい」 「そうか」 「…………」 本当に気まずくて気分が悪かった だけど…… 「勝哉さんとのお付き合いを許して貰えませんか?」 私は父の目を真っ直ぐに見て言った 「あれから私も色々考えた。どうすればお前が同性愛者である事を受け入れられるのか……」 「はい」 「母さんとも色々話し合ったし孝浩の為に何が出来るのかも……」 「はい」 「出来れば結婚もして子供を持ち暖かい家庭を築いて欲しいと思っている」 「……はい」 「だけどそれは私達の考えであってこれは孝浩自身の人生だ。私達が出来るのはお前が不幸にならない様に助言をし見守ってあげる事しかないんだ」 「父さん……」 「これを言いに今日はお前の所を訪ねたんだ。彼も居てくれて丁度良かった……勝哉君、どうか孝浩を宜しくお願いします」 父はそう言って、勝哉さんに頭を深く下げた .
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