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『…………』
俺の隣には朔夜
向かって親
リビングのテーブルに向き合って座ったまま沈黙
一体どうして?
大学は?
何故朔夜が実家を?
何で今日俺がここにいるって事……
そんな事ばかりが頭の中でグルグルしていた
だけどその反面、俺は心底安心していた
「初めてまして、朔夜と申します。憂君とは仲良くさせて貰っています」
朔夜が二人に笑い掛けた
「……で、君は何の用でここに?」
「一緒に住む前に憂君のご両親に挨拶をと思いまして……」
『!』
「大丈夫」
そう言い、見えない様にテーブルの下で朔夜が俺の手をぎゅっと握った
「憂君のアパートは3月末で契約を解約されますよね?」
「え、ええ」
母親は顔を赤くしたまま答えた
朔夜に見惚れてる……義父がいるくせに何だよマジで
「ですので憂君は今後俺と共に生活させて頂きますのでご安心下さい。彼ももう少しで成人しますしこれからは彼の自由に」
「その前に君は一体何だ?」
義父が朔夜を睨み付けた
「ああ失礼、俺はこう言う者です」
そう言って朔夜は名刺らしき物を取り出し義父に渡した
名刺……
え、大学生なのに何で名刺……
「………………は?」
名刺の表と裏を交互に見て義父は朔夜を見つめた
「ああすいません、実は俺まだ大学生で……」
「大学生なのにどうしてこんな大企業の名刺を……?」
朔夜が渡した名刺は朔夜父の企業名が書いてある名刺だった
え、何で……
「俺、大学卒業したらその企業に入るんで」
『は?』
「卒業した後流石に無職はダメでしょ?だから席だけは取り敢えず先に入れておけって父親がうるさくてさぁ」
『ちょっと待って初耳なんだけど』
「うん、今言った」
『は!?』
「大丈夫大丈夫。俺がどれだけ出来るか父親知ってるし」
余りにも突然過ぎて朔夜の言っている事がよく分からなかった
朔夜父の企業?席だけ?名刺?
「父親……?」
「ああ、そこの代表の息子なんで。俺」
「…………」
朔夜父の企業がどれ程莫大な企業か義父は知っているはず
世界的にも有名で日本の殆どの企業がそこと繋がっているだとか……俺、馬鹿だから詳しい事は分からないけど
「まぁ俺の事はその辺にして……」
そう言って朔夜は俺を見つめた
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