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これで俺は本当に自由になったんだ 俺にもう家族はいない そばに居てくれる人は朔夜だけ…… いつまで一緒に居られるか分からないけど、先の事は今はどうでもいい 「てっきり卒業してから実家に行くもんだとばかり思ってたよ」 『ごめん、朔夜がいない時を狙ったつもりだったんだけど結局バレてたんだな』 「甘いね」 『ははっ』 この前店から貰って来た段ボールの中に荷物を詰め込みガムテープで封をした 「業者に頼もうと思ってたんだけど」 『勿体ねーよ。言う程持って行くもんねーし何回かに分けて朔夜の車に積んで貰えれば……』 「家電は?」 『取り敢えず今はそのままで』 軽く荷物整理をし更に気を紛らわせた 本当はまだ頭が痛いけど何もしないよりはいい 「取り敢えず今日纏めた分は持って行く?」 『もう持ってっていいの?』 「当たり前じゃない。じゃあ一旦帰って車取って来るよ」 そう言い、朔夜は玄関へ向かった   『朔夜』 「ん?」 『ありがとう』 「……」 それから朔夜の車の中に幾つか荷物を乗せ、今度は朔夜んちへ 「取り敢えずそこの部屋に置くね」 『うん、ありがとう』 玄関入って直ぐ近くの空いていた部屋の中に俺の荷物を置かせて貰った 本当一人暮らしなのに使ってない部屋があるなんて超贅沢 「じゃあ3月末までに全部持って来られる様に少しずつ持って来よう」 『宜しくお願いします』 「何改った事言っちゃってんの?憂の事は俺の事でもあるんだから」 『言い過ぎ』 「本当だよ」 荷物を全て部屋に置いた後二人でリビングへ向かいソファーで一息ついた 「……憂」 『ん?』 「キスしてもいい?」 いつもそんな事聞かないくせにそう聞いて来た朔夜 『好きにしろよ』 「もっと可愛く「いいよ」とか言ってよたまには」 『…………』 触れるだけの軽いキスをされ、ぎゅっと抱き締められた 「これから先も俺がついてるからね」 『うん』 ぎゅっと抱き締め返し、朔夜の胸に顔を埋めた 『そう言えばさ』 「ん?」 『朔夜のお父さんの会社に入るって……』 「ああ、うん」 『あれって本当なの?』 「取り敢えずはね。メルアド変えたのに何故かパソコンにあいつからメールが入るんだ……絶対ハッキングか何かしてるよ」 『ハッキング……』 確かにあの人ならやれそうだ 「それで何度かやり取りしてるうちにそう言う事になって……」 『それならそれで早く言ってくれよ』 「ごめんごめん、まぁあの名刺が役に立って良かったよ。身分明かすのにただの学生証だったら完全に舐められてただろうし」 『あれマジでびっくりしたんだからな』 「ふふっ」 『いつの間に名刺なんか作ってたの?』 「いきなり送り付けられたんだよ」 『へぇ……』 だけど…… 『って事は大学卒業したら朔夜海外行っちゃうのか?』 そう思うと一瞬でまた不安になった 「絶対行かないから大丈夫」 『本当?』 「取り敢えず席だけだから」 『……うん』 「もしそんな事を言って来たら即辞めて違う事するよ」 『違う事?』 「憂と一緒に愛の逃避行」 や、意味分からん…… .
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