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Last Judgement
シンと静まり返った闘技会場で、カリカリを原稿用紙を叩く筆音だけがこだまする。
ViSNUはただ整然と佇み、緑色のLEDランプをチカチカと点滅させていた。
緊張感が漂う中、聖字の筆跡から発せられる熱気に、審査員は思わず扇子で顔を煽いだ。
「……デュエル終了まで、あと10分」
聖字は目の前の原稿用紙を書き切ると、パラリとめくり、次から次へと紙の束を積み上げていった。
「終了まであと10秒、9、8、7、6、5、4、3、2、1、WRITE UP!」
「よし! 時間ちょうど、計算通り」
聖字は「ふう」と息をつくと、目を閉じながら静かに万年筆の蓋を閉めた。それまで周囲を覆っていた熱気が、万年筆の中に一気に封じ込まれるようであった。
「それでは審査を開始します。原稿をプリントアウトするまでお待ちください」
ViSNUの原稿データはプリントアウトされ、聖字の原稿用紙は複数枚コピーされ、審査員達に配られた。
聖字にもViSNUの原稿が手渡された。
審査員達は手渡された小説をパラ、パラっとしばらく熟読していたが、まもなくして声が上がった。
「これは……」
審査員達はお互い目を合わせて、うんと頷き合っていた。
「ジャッジメントに移ります。まず総評からお願いします」
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