WRITE UP

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 両者が小説を書き始めた。執筆途中の原稿テキストはリアルタイムに配信され、画面上は次から次へと文字で埋め尽くされていった。  ギャラリーからは執筆中の原稿に対して、「クソ文字」「駄文」「小説家ヤメロ」などコメントを入れて、プレッシャーをかけることもできる。この心理戦もデュエルでは重要な戦略のひとつだ。  まもなくして、制限時間がやってきた。 「まもなく終了! ターイムカウント、5、4、3、2、1、WRITE UP(書き止め)!」  完成した小説テキストが、ベット参加者全員にデータ転送された。 「ギャラリーからのレビューを読み上げてみよう。まずはMARIの『ヘル アンド トリップ』!」  ――どうしようもない紐男と、とんでもないあばずれが、最低の場面で出会いながらも、最高のカップルになり、最後はモルジブの夜景に包まれながら、濃厚なベッドシーンを展開するエロスの至極―― 「おっと早くも最高のレビューをもらっているぞ? 対してセントマジシャンの『白魔獣と黒騎士の刹那』はどうだ?」  ――世界を守るためにあえて闇に落ちた魔獣と、実は大量殺戮者という裏の顔を持つ女騎士の、敵対する二人の禁断の愛を描いた作品。最後まで目が離せない、圧巻のエンディング!―― 「こちらも負けていない! さあ、ファイナルジャッジだ。勝者はどちらだ?」
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