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Silver Fountain Pen
「ヴィシュヌは人ではなく……AI?」
「そうだ、世界中の情報を集めて、究極の物語を描き出す。これを上回る小説はもはや人間では書くことは不可能。それを証明するためにも、君との対戦が必須だったというわけだ。重鎮の方々も快く審査員を引き受けてくれたよ」
「聖なる魔術師、すまない、ヴィシュヌの描く小説は素晴らしいものだ。しかし本当にもう人では勝つことができないのか? それを我々も確かめてみたかった」
先ほどの貫禄のある中年男性――大手IT企業の社長が口を開いた。
「ヴィシュヌの描けるものは小説だけではない……映像、音楽、製品、世界すべてを自動化する性能を秘めている。まずは手始めに出版業界から制覇していこうというわけだ」
一瞬の沈黙が漂う中、テーブルの前に立っていたジャッジから声がかかった。
「よろしいでしょうか? デュエルノベルを開始します。今回のテーマは『人間の本性』、このテーマに則した小説を書いてもらいます。審査員による評価票の多数決で、勝敗を決します」
「それでどうする? 聖なる魔術師、君の執筆ツールは何がいい? 最高のPCを用意してある。使い慣れているPCを使ってもいい、音声認識を使用しても構わない」
「……俺はこれでいいよ」
鞄からごそごそと探り出すと、テーブルの上にバサッとそれを置いた。
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