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おどけた口調で僕は彼女をからかった。すると彼女はびくともせずに笑い飛ばした。
「それは流石にないわ。こんな自然が多くて住みやすい星、壊すにはもったいないもの。人間だけ殺して植民地にするに決まっているでしょ」
彼女はそう言うとそのまま三本目と四本目の腕を使って夕刊を丁寧に折りたたんだ。
「さ、手を洗ってお肉を解体するの手伝って」
五本目の腕の先についた目を細める彼女に僕も微笑み返して洗面所に向かった。
その段になって課題のことがふと頭によみがえった。
あと一週間。それまでに何かいいアイデアを絞り出さなくては……。
「うーん。なかなか隠し事が見つからないなあ」
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