1人が本棚に入れています
本棚に追加
「……ただいま。」
「おかえり。今日、遅かったけどどうしたの?」
「ん。友達と遊んでた。」
「……最近部活も行ってないらしいけど、その友達のせい?」
「え、ちが」
「進路のこともあるんだし、部活行かないで遊んでるんだったら勉強した方がいいんじゃない?」
「……。」
「部活で推薦、できそうだったのに。もう間に合わないのかな?」
少し残念そうに言うと、背を向けて去っていった母親に、暗い感情が湧き出す。でも、それ以上に自分が嫌になって、なんにも言えなかった。
部屋に入って、バックからシャーペンを取り出す。使いやすそうだからって選んだら、偶然被ってお揃いになったシャーペン。手の中で遊ばせながら考える。
俺がいたところで、あいつは何も救われない。今だって泣いてばかりで、なにかに怯えたような顔をよく見る。結局家に帰ったら辛いことだらけのまま。それなら、俺の必要性なんてない。
それと、進路。去年までずっと、推薦で行く気だった。正直勉強は好きじゃない。それなら、今からでも部活に戻った方がいいんじゃないか?膝は、もう治ってるんだから。あと3ヶ月。頑張ったら、少しは明るい未来があるんじゃないか?母さんだって、その方が安心してくれる。放課後に俺が居たところで、少年の救いにはなれない。それなら…。
最初のコメントを投稿しよう!