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僕が配属されたのは、前線側にある二番隊だ。八番隊とは遠く離れており、恐らく二番隊の中で基地の所在を知る者はいない。
いや、知らない前提で来ているのだから、そうでなければ困る。
僕はこの隊で、隊長の補佐役になるべく遣わされた。
「一人で来るの苦労しただろ? 基地も地下にあるしさ。無事に着いて本当に良かったよ」
「裏ルートを教わっていたので大丈夫でした」
これから赴く戦闘準備の最中、声を掛けられる。反射的に返した答えで、心にズキリと痛みが走った。
いや、発言自体は嘘ではない。ただ、背景にあるものが後ろめたさを作り出していた。
「あれ便利だろ。めっちゃ入り組んでるけど。俺たちで掘ったんだぜ」
誇らしげなヴェルベットの視線の先、同じく準備に勤しむ仲間たちがいる。小柄で幼い顔つきの少年少女が、大きな武器を手入れする姿には違和感しかなかった。
正直、ここに来た時はかなり驚いた。
二番隊は高い戦闘力を有しており、戦いにかなりの影響を与えている――との情報を事前に得ていたからだ。だからてっきり、屈強な大人たちが揃っているものだと思い込んでいた。
それが、実際は隊長のヴェルベットを除けば、ほぼ全員が十五にも満たないような子どもだったのだ。
ヴェルベットだって、恐らく、まだ二十歳にもなっていないだろう。加えて、総勢も三十人程度だった。
それなのに、大人をも圧倒する強さを彼らは持っているのだ。
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