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真実
私は気づいた。
ぱらさんが息子ではないこということに。
本当の息子はクレイジー山Gだ。
私は騙されていた。
“オレオレ詐欺”ならぬ“母さん母さん詐欺”に遭っていたんだ。
「結局、顔なんだ……イケメンが好きなだけなんだ! もう信じられない!」
そう言って、ぱらさんはTwitterを飛び出していった。
ぱらさんが姿を消してから一週間。
私は『白い恋人』を食べながら考える。
まだ怒っているだろうか。
ぱらさんは、私がクレイジー山Gを顔で選んだと思い込んでいるが、そんなわけはない。
なぜなら、ぱらさんのアイコンはとてもキュートだからだ。なんとも言えない、あのアバターの笑顔。実物を見たことがないので似ているかどうか定かではないが、ハワイが好きなことは間違いない。アバターがアロハシャツを着ているからだ。
今頃、ハワイにでも行っているのだろうか。
私は『白い恋人』を食べながら考える。
ハワイは常夏か。雪なんて降らないだろうな。
『白い恋人』を常夏にいるぱらさんにも食べさせてあげたい。
「恋」をなつあしに置き換えてみる。
「変」
『白い変人』ーー。
どこかぱらさんを彷彿とさせる。
理由はわからない。
ただ、よく「漂白剤」がどうのこうの言っていたのを覚えている。
掃除好きだったのだろうか。
思い返してみると、私はぱらさんのことをあまり知らない。
知らないことは考えてもわからないので、テレビを見ることにした。
ミルクボーイが漫才をしている。
今度は、オカンが野菜の名前を忘れたらしい。
オカンの想像によると、ベーコンにとってアスパラは妹のような存在とのこと。つい守ってあげたくなるそうだ。
アスパラとベーコン。
白い恋人。
アスパラベーコン。
白い変人。
ホワイトアスパラガス。
ぱらさん。
あれ、ぱらさん?
そうだ。ぱらさんのぱらは、アスパラガスのパラだ。
アスパラガスは「新芽」という意味だから。
思いもよらぬ出会いがありますようにーー。
そう願いを込めて名付けたのであった。
通知が鳴る。
ぱらさんからだ。
「ベーコン買ったら、Amazonギフト券1万円分当たったよ」
息子よ、やるじゃないか。
〜おわり〜
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