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第1話 報告書作成に苦闘する
「こういうの、ほんと苦手なんだよな…」
愚痴なんていかがなものかとは思うが、苦手なものはしかたがない。思わず出た呟きに自ら言い訳をしながら、シュウはソウルシェイバー(というかセイバー? 特に魂削ってないし)としての活動報告をするべく『魂増加者特典付与 実施報告フォーム』を立ち上げ、必要事項を記入していった。慣れればなんてことない、今は本当に楽になったんだぞ、と先輩は言っていたけれど。
・《対象者》 駒居真宙/こまいまひろ
・《被対象者》 白石亜李亜/しらいしありあ
・《特典使用状況》使用済
・《過去修正ポイント》対象者6歳時点
・《過去滞在日数および時間》1日 約5時間
・《修正内容》
対象者による、対象者への裏切り行為の修正、のはずが、
予定が変わり走って会いに行く
唸りながらもどうかこうか入力していた手が、そこでぴたりと止まった。
・《修正結果》
・《修正後の状況》
そこには、自由記入欄の大きな空白。ここを埋める文章を、書けってか?
「おいショウ! ここまでは書いたから、残りはお前がやってくれ!」
隣で、これまた唸りながら何かを入力していた相方のソウルセイバー(仕事内容同じだけど、まあ一応)にそう言いおいて、保存ボタンを押しシステムを閉じた。
「え? なに??」
きょとんとしてシステムを開いて10秒後、
「きゃー! 自由記入欄!」
という声が響き渡った。
ずるくない? これぇ…、ぶつぶつ言う声を、心を無にしてスルーする。そうして20分ほどして、できたよ、という声がして、次いでシュウのもとに共有先が送られてきた。
・《修正結果》
仲直りしました。
仲直りできてよかった。
・《対応後の状況》
対象者は一層やる気を出しがんばった。今は国の代表選手です。
被対象者はアーティストとして活躍中。
最近2人は再会しました。
「うん、まあ…、いいんじゃないか?」
「じゃあこれで提出するね、と」
シュウが言うと、ショウが頷きながら提出ボタンを押した。軽やかな音がして、次の承認者である上司に送信されたというポップアップが上がった。
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