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「紫陽花」
紫陽花の花が好きでした
俯瞰してみる姿はミニチュア
まるで砂糖菓子
ふれたらほろほろと壊れてしまいそう
ミルクを溶かした淡い色
青と紫が織りなす少女と女性の揺らぎ
光る雫は透明な一滴の苦味と甘い飴玉
花びらはたとえば小さな便箋
雨色のインクで綴られた小さな手紙
思いと一緒に旅する甘い夢
その一節一節が描かれた花びらを
まとめて本にしたい
花びらはたとえば小さな物語
ふわり靄がかかりながら透き通る
揺らぐ少女の物語
その刹那的な時間を
そっと押し花にして栞にしたい
そうして小さな箱に詰め込んで
どれも大切な宝物
現実に咲く甘い夢の花
時は巡り そっと蓋を開ければ
かすかに香る少女の日の思い出
紫陽花の花が私は好きでした
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