1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「風鈴」
風鈴の透き通った音色が好きだ。
透明で儚くてきらきらとした硝子の鈴。
路地裏で、ベランダで、洗濯物と一緒にひそやかに揺れる風鈴。その光景を見るとどこか懐かしい気持ちになって胸がきゅっとする。
その音色は風が、星が、転がるように透き通ってきらめいている。その瞬間私の心は痛みとともに浮遊する。
路地裏は日常と非日常の狭間。内緒の小道のような、「表」とは流れる時間が違うようなどきどき。なにかがおきるような、でもたしかに私はここにいる。
毎日通る道。ペットの亀くんや眠る猫さんに挨拶をする。ひっそりと紡がれる静かな時間。私だけの大切な1ページ。
今日も風鈴の音色が聞こえる。
最初のコメントを投稿しよう!