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「あのね、私ももう和臣以外の男に抱かれたくない。結婚したんだから当たり前かもしれないけど、ちゃんと言っておきたくて。だから、和臣も出張中、私が浮気してるんじゃないかなんていう心配は一切無用だからね。って何⁉」
私が恥ずかしいのを堪えて真面目に話していたのに、和臣はいきなり私を抱き上げてキスをした。
そのまま、お姫様抱っこでベッドルームに運ばれる。
「ねえ、お風呂は?」
「可愛いこと言ってソノ気にさせたんだから、今すぐいいだろ?」
「えー、おふろー」
口を尖らせて異議を唱えてみたけれど、あっさりベッドに押し倒されて服を一つ一つ脱がされていく。
それはまるで鎧を剝がされていくようだった。自分が傷つかないようにと、冷めたフリをした私の精一杯の鎧。
記憶を封印して、笑顔を消して、祖父に何を言われても感じないフリをしていた。
でも、和臣と一緒にいると、だんだん自分が素直になっていくのを感じる。
丸ごと受け止めて、私が私でいていいんだと思わせてくれる人だから。
キスをしながら私の上に覆いかぶさった和臣の指が、ゆっくりと肌の上を滑る。
鎖骨から胸に行くのかと思ったのに肩に流れて、肩や二の腕にも性感帯があったのだと教えてくれる。和臣に触れられれば、どこでも感じてしまう。
「灯里、愛してる。絶対離さない」
「ありがとう」
たぶん「私もよ」と応えるべきところなのだろうけれど、私の口から零れたのは感謝の言葉だった。
私を見つけてくれてありがとう。私のすべてを受け入れて、愛してくれてありがとう。
優しくほぐされた蜜口からは、彼への愛が溢れている。熱く猛り切ったモノが当てられて深く繋がった。
愛し愛された人と結ばれた喜びに、今夜も私の目尻からは涙が伝い落ちていったのだった。
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