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「どちらが……って、はっきりいえないけど。
私が酔いすぎて会がお開きになった後立てなくて、そしたら
桑山くんが酔いが醒めるまでずっとついててくれて……」
要約するとその後彼女の家まで送って行ったらしい。
チッ、まったく。
圭介のほうは十分下心があったんだろうなぁ~って、
見てたわけじゃないけどその話を聞いて私はそう思った。
だって彼女の友達だって何人かいたんだよ。
下心もないのにその日初めて顔合わせした相手を介抱し
自宅まで送って行くだなんて。
私は食い下がるように熱烈にアプローチしてきた圭介の
当時の私への積極的な行動を思った。
さもありなん!!
「いいよ、わかった。
圭介はあなたに譲ってあげるよって、今ここですぐに返事できるようなことでもないよね?
だけどあなたたちが本気で想いあっているのに、先に付き合っている
からってどこまでも邪魔をするような野暮な人間じゃないから、あたし。
今言ったことが本当のことなら相思相愛を主張するあなたに
不安材料はないってことになるのかな?!
……となるとぉ、急がなくてもそのうち結論の出そうな話だし
泣かなくていいわよ」
と、その女に慰めともとれるような話をし、私は立ち上がった。
スタッフがオーダー取りに来る前に話がついてしまい、流石に
そのまま気まずさの中でお茶なんて飲んでられないと思い、私は足早に
店を出た。
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