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泣き真似をしながら圭介がどんな顔をしているだろうかとチラ見した。
彼はぽかんとあっけにとられた顔をしていた。
ぅひゃっははぁ~。なんて顔してンのよぉ。
5月のあの日から本心を隠して私はこの日を待ってた。
『さばさばっと、さよならだ。おさらばっ!』
私は泣きながら、そのホテルを去った。
いや、正確には泣き真似しながら、だ。
外に出てからは涙なんてちっとも出てない晴れやかな顔で
颯爽と駐車場に向かいながら思った。
最初に私が圭介に振られた。
小林かおりはそのうち、久木に振られるだろう。
圭介は小林かおりに振られ、私に振られた。
私だけが振られるなんて理不尽だ。フンッ
これでさっぱりしたyo。
次っ、、次っ、、次行こうー!
私は自分を励まし、家路についた。
物事には仁義っていうものがあるのだ。
さおりも圭介もちゃんとした仁義をきらなかった。
だから私の逆鱗に触れたのだ。
圭介がちゃんと私にすまないという気持ちを持ち
誠意をもって正直に自分の気持ちを話してくれていたら、
かおりがもっと控えめで自分の立場を知りおいてくれていたら、
私はここまでしなかったろうと思う。
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