みぃちゃん。

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昔から心が無いんじゃないかって言われてた。 感動もののドラマを観たって涙ひとつ流れない。 子どもか動物を出しておけばなんとかなると思っている魂胆が丸見えだ。 あんなお情け頂戴の作り物で泣けるほうが信じられない。 わたしが信じられるのは猫のみぃちゃんだけ。 「みぃちゃん」 「みゃぁ」 「はい、朝ごはん」 「みゃぁみゃぁ」 「可愛い、帰ったら遊ぼうね」 玄関までくっついてきてくれたみぃちゃんにお別れをして面倒くさい学校へ向かった。 授業中もわたしの頭の中はみぃちゃんのことばかり。 何をして遊ぼうとかたくさん撫でてあげようとかそんなことを考えノート端に猫のイラストを描いていた。 「さよなら」 ホームルームが終わると同時に一番で教室を飛び出す。 そのままダッシュで家に帰り鍵を開けたのにいつものお出迎えがない。 お昼寝かなと思ってリビングに入ると横たわるみぃちゃん。 どこか様子が変で近づきその毛並みをなぞると温かさがない。 息をしていない愛猫とは対照にわたしの心臓はドクドクと煩いほどに音を立てる。 「みぃちゃん……?」 「……」 「み、いちゃん、、みいちゃんっ!みいちゃんみいちゃんみいちゃん……っ」 何度呼んでもいつものように可愛らしい鳴き声での返事をしてくれない。 これはドラマなんかじゃなくていま目の前で起きてる現実なんだ。 わたしがカットと言ったところでみいちゃんはもう……。 それを自覚した瞬間一筋の涙が頬を伝った。
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