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「……本当に、どっちか分からなくなるな」
呟くと、むぅ、と口を尖らせて俺を見上げてくる夕里。
「やっぱり、夕方みたいだって言ったの、そういう意味だったんですね」
夕里は、俺の耳の後ろに手をつけると、ぐいっと強引に寄せてキスをする。
それから、唇を離して真剣な眼差しで言う。
「男に決まってるでしょ?」
ふっ、と笑ってしまった。
「……分かってるよ」
「先輩、勘違いしてるんじゃないかと思って」
「してねーよ」
色の境目のない空に、二人の笑い声が溶けていく。
うん。本当に、何にも変わらないな。
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