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夕里と出会ったのは、ほんの数週間前。放課後、練習着に着替えようと部室に向かっている時、グラウンドからサッカーボールが飛んできて当たりそうになっていたところを、持ち前の瞬発力を活かして庇ったのが切っ掛けだ。心底キーパーをやってきて良かったと思った。
大丈夫か、とサッカーボールを抱きながら振り返ると、夕里は腰を抜かして呆けた顔で数秒間も俺のことを見つめていた。
それから、はい、と浮いた声で返事して、みるみるうちに顔を赤く染めていった。
あの時に一目惚れした、と夕里は言っていた。
けど、それなら何故、帰宅部の夕里が部室前にいたのか、俺は今でも聞き出せないままでいる。
バタン、と古びたロッカールームの扉を閉める。
夕里は、俺にとってただの可愛い後輩だ。
それ以上にはなれない。
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