答えなんて、知りたくない

1/7
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
 教室の中。  茶化(ちゃか)して騒ぐ生徒とそれをたしなめる担任教師。  そんなありふれた青春の一ページ。  私は教室の隅で授業内容をノートに書き写しながら、好きなアニメキャラをもうひとつのノートに描いている。  他のクラスメイトは明るく楽しい青春を謳歌(おうか)しているというのに、私は陰で陰気な趣味に没頭している。色恋に花咲く女子高生、誰もが憧れる所謂(いわゆる)JKと呼ばれる輝かしい季節だというのに。既に一年半がたとうとしているけれども、華やかさの欠片(かけら)もない。  仕方のないことだ。  私には友達がいないし、だからといっていじめられているわけでもない。正真正銘みんなの陰にいる、目立たない一人の女子高生。あまりにも接点がなさ過ぎて、たまに自分はもう死んでいてそれに気付いていないだけのただの幽霊なのではないか、なんて妄想することもある。勿論(もちろん)、私は生きているしこうしてしょうもないことを考えていますけど。  嗚呼(ああ)、このまま私は誰にも気付かれず枯れていくのだろうか。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!