第6話

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それは嘘なんだよ。 私は、彼の筆箱からシャープペンシルを くすねたんだ。 そうしないと、グループが私を イジメの標的にするからって……。 私は仕方なく行動に移したんだ。 可哀想になって、彼に返したけれど、 一旦は傷つけたことには変わらない……。 シャープペンシルで<嘘>の文字を 書いてみた。 その文字は消しゴムで容易く 消すことができるけれど、 実際に起こした出来事を なかったことにするのはできないんだ。  ・・・ 独りで結婚式場に向かった。 ウエディングドレスの写真を撮ってもらった。 けれど、もうすでに涙が溢れていたんだ。 「あのう、お客様大丈夫ですか?」 カメラを構えた店員は怪訝そうに 私の方を見つめてくる。 大丈夫ですよ、私は首を縦に振って返答に変えた。 私は一人で過ごそう。 自分は誰も愛することはできない、 そんなことを思っていた。 君の前から立ち去る準備はできていた。
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