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第3話
ある夏の日、私はスタバで
クラスメイトと待ち合わせしていた。
彼女は合流してから言ったんだ。
「急にごめんね!
夏休みで誰にも会えないから、寂しくなったんだよ」
そっかー、そうだよね。
私は彼女の言葉に納得したんだ。
夏休みの出来事を話し合っている中、彼女は聞いてきたんだ。
「そういえば、君に聞いてみたかったことがあるんだよ」
聞いてみたいこと?
私はアイスコーヒーを飲もうとした手が止まる。
「彼ってどうなの?
よく話していたじゃない?」
うーん、そういうことかあ。
長らく訊いてみたいことだったんだろうなあ。
「特にどうということはないんだ、
中学の頃から一緒なだけだよ」
ふーん、彼女の返答はそれだけだった。
彼女はなんだか面白くなさそうな表情を見せていた。
その時、私のケータイに電話がかかってきた。
彼女にごめんね、と言って電話にでた。
なんと、それは母親からの電話だった。
「牛乳を買って来なさいってー、
なにそれ!」
ただの買い物の催促に、私は思わず声を上げた。
そして、仕方なくメモ帳に<牛乳>と書いた。
一番安いやつというコメントも添えて。
それで私は電話を切った。
その様子を見ていた彼女が恐る恐る口を挟んできた。
「そういえば、
君っていつもボールペンだよね。
授業もそうだし、間違わないの?」
ああ、と私は右手に視線をやった。
「間違っても、頭のゴムで消せるし。
大丈夫だよ」
私が持っているボールペンはいわゆる特殊なやつだ。
頭についているゴムでこすると、発する熱で文字を消すことができる。
<牛乳>の<牛>のところを軽く消して見せた。
そして、少し目を細めて言ったんだ。
どこか遠いところを見ていたような気がするんだ。
「シャープペンシルって苦手なんだ」
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