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『何かお探しですか?』
百貨店のブランドショップ。
並ぶバックを眺めてたら店員が話しかけてくる。
「バックなんですが。オススメとかありますか?」
『そうですね、今一番人気なのはこちらのトートバックになります。』
自分は接客業のくせに。
人に接客されると面倒くさくなる。
でもこいつも必死で仕事してんだろうな。って思ったら釣られて接客中の自分が顔をだす。
「じゃあ、それでお願いしてもいいですか。」
最初にJekyll and Hydeを任せられたとき、なかなか笑顔が出せずによくユキに笑われたっけ。
《そんな顔してたらお客さん逃げちゃうじゃん。》って。
今じゃ勝手に顔が笑顔を作れる。
『あ、ではこちらにお掛けください。』
即効で購入を決めたのに若干驚いたのか、店員は一瞬止まって、それから中に入っていく。
「それからこれ、一緒に入れてもらえますか?」
happy birthdayと書かれたガードを店員に渡すと、『プレゼントですか。素敵ですね。』と返された。
同時に出された請求書を見て、若干げんなり。
これが30万ちょいかよ。
理解できねぇ。
『ガードも手書きで、贈られる方が羨ましいです。字もとても綺麗。』
それ、ユキが携帯の画像見ながら「やべぇ、これ今自分がtの部分書いてんのかhの部分書いてんのか分かんねぇんだど!」って笑ってたやつだけど。
「ありがとうございます。」
にっこり笑ったら、店員も微笑みを返してきた。
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