02

2/15
前へ
/60ページ
次へ
『何かお探しですか?』 百貨店のブランドショップ。 並ぶバックを眺めてたら店員が話しかけてくる。 「バックなんですが。オススメとかありますか?」 『そうですね、今一番人気なのはこちらのトートバックになります。』 自分は接客業のくせに。 人に接客されると面倒くさくなる。 でもこいつも必死で仕事してんだろうな。って思ったら釣られて接客中の自分が顔をだす。 「じゃあ、それでお願いしてもいいですか。」 最初にJekyll and Hydeを任せられたとき、なかなか笑顔が出せずによくユキに笑われたっけ。 《そんな顔してたらお客さん逃げちゃうじゃん。》って。 今じゃ勝手に顔が笑顔を作れる。 『あ、ではこちらにお掛けください。』 即効で購入を決めたのに若干驚いたのか、店員は一瞬止まって、それから中に入っていく。 「それからこれ、一緒に入れてもらえますか?」 happy birthdayと書かれたガードを店員に渡すと、『プレゼントですか。素敵ですね。』と返された。 同時に出された請求書を見て、若干げんなり。 これが30万ちょいかよ。 理解できねぇ。 『ガードも手書きで、贈られる方が羨ましいです。字もとても綺麗。』 それ、ユキが携帯の画像見ながら「やべぇ、これ今自分がtの部分書いてんのかhの部分書いてんのか分かんねぇんだど!」って笑ってたやつだけど。 「ありがとうございます。」 にっこり笑ったら、店員も微笑みを返してきた。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加