江の島ローランサン~君を乗せる舟になる~

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 ヤバい、僕の命より大切な甥っ子に手を出すな、と奏多が言い返そうとした時、ファッションモデルのような若い美男子が現れた。 「圭多、おはよう。何やっているんだ?」  奏多は若い美男子に見覚えはないが、圭多は親しそうに挨拶をした。 「……あ、涼真くん、おはよう」  圭多が涼真と呼んだ若い美男子は、青年実業家風の男を威嚇するように睨んだ。 「……で、俺のツレになんか用ですか?」  涼真の迫力に恐怖を感じたらしく、青年実業家風の男は改札口に向かって走りだした。風のように速い。  拍子抜けというか、呆気ない幕切れだ。 「涼真くん、ありがとう。奏多ちゃん……あ、叔父ちゃんが痴漢に遭って困っていたんだ。僕の叔父ちゃんは昔から変な奴につきまとわれて大変なんだよ」  圭多が邪気のない笑顔で言うと、涼真は奏多の顔をまじまじと見つめた。 「……あぁ、綺麗な叔父さんだな。初めまして、一色涼真と言います」  涼真が爽やかに名乗ったので、奏多は慌てて頭を下げた。 「……あ、あ、あ、その、あの、その、あの、あの、助かりました。お礼を言います」  ……うわ、男のくせに痴漢に遭って恥ずかしい。
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