王道学園の清掃員

いきなりこれはちょっと……

今日は新学期最初の日。
うちの高校では新学期より入学式が最初にあるので、新学期の式には全校生徒が集まる。

俺はいち清掃員だけど、何故か式には参加することになってる。
パリッとしたスーツを身にまとった教師陣の並びに小汚い作業着をきた男が並んでても違和感しかないんだけどな。

式は順調に進む。
学園長の言葉、というプログラムでステージに上がった学園長、一瞬こちらに向けてウインクしたのは気のせいだろう。
生徒会長の話は、いつも通り副会長が代理をしていた。

式典が終わり生徒たちが教室へ戻ると、俺も仕事に戻る。

校門付近の清掃は終わったから、次は中庭だっけか？
無駄に敷地が広いんだなここ。

必要な清掃道具を清掃用具室から取り出し、中庭へ向かうが…なんか変な声が聞こえてくるのは俺の気のせいか？

押し殺してるけど思わず漏れている様な吐息、というか、甘さを含んだため息、というか。
あーーーー…………………〇ぎ声じゃね？なんて言わないからな俺は。

まあでも一応、身を忍ばせそっと中庭を覗いてみる。

…おりました。おりましたとも。
そしてやっております。やっておりますとも。
そりゃあもうばっちし。
学校の中庭でするとかどんな露出狂だよ。始業式で全生徒体育館に向かうからって危機感なさすぎだろ。

ここに勤めてから、こういうことは少なくなかったけど、いい加減うんざりしてきた。
てか慣れたくない。

びっくりだろ？
職場に行ったらまさかの最中で、職場に入る事すら出来ず仕事が進まない。

「あ、麦くん、ここにいたんですね」

そして最悪な上司が訪れるとか。

「ん？どうしたんです麦くん？」

……俺の今日の星座占い、絶対最下位。