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その時、以前のことを思い出した。浅緋と初めてキスした日のこと。
九条家の娘たるもの、こんな男に翻弄されるはずはない! と思っていた。
そんなことはプライドが許さないと思っていたけど…。
―――不思議とここは、心地いいのだ。
そう思って微笑むと、浅緋はなにを勘違いしたのか、「同意されたようですし、これまで以上に遠慮なく抱かせていただきます」と耳元でささやいた。途端に背中に冷たい汗が流れる。
これまで、以上…だと!?
九条家の娘たるものそんなことを言ってはいけないと分かっていますが…
やっぱり前言撤回させていただきます!!
(完)
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