Fin2,夫との約束

6/10
4051人が本棚に入れています
本棚に追加
/1523ページ
「モヒートの材料をそろえるために、マーケットに一緒に買い出しに寄ったら、母さんに出会ったんだ。今日は心美もいる日で、三世代食事の日だから、ユキも来いって誘ったんだ」 「いいわね。エミルのモヒート。気温がすこし上がってきて、美味しくなる季節だものね。私も大好き」 「戸塚じいちゃん直伝だからな」  息子を片腕に乗せながら、片手にはマーケットのレジ袋。その袋を藍子に手渡してくれる。 「では。エミルパパが帰ってきたので、いまから一気にオーブンで焼き上げるわね」  ユキの分のスキレットもすぐに準備。鶏もも肉と美瑛産のズッキーニに玉ねぎ、ニンジンにじゃがいも、ローズマリーなどを盛り付けてオーブンへ。  料理好きな藍子のために、エミリオがけっこう大きなオーブンを備え付けてくれたのだ。海人が羨ましがるほどだった。このオーブンのおかげで、たくさん作れるのでいつでも人が増えてもへっちゃら。そのせいもあるのだろうか。ユキだけでなく、戸塚家にはよくお客様がやってくる。  頼もしい弦パパに会いたい男たち、エレンママの優しい言葉に癒やされたい奥様たち。そして、不惑の年齢を迎える信頼に値する男、戸塚中佐に心を委ねたい隊員たち……。朝田少佐自慢の手料理を楽しみに、戸塚中佐についてくる人々、などなどだった。  仕上げる藍子のそばで、制服姿のままの夫がモヒートを作り始める。  エレンママは、今日のサークルでつくってきた花束をフラワーベースに活けてくれている。  食卓はあっという間に出来上がった。  夫の両親、夫の同僚後輩、息子と、親愛なるフラワーガールちゃん。家族としても、仕事仲間としても、ご近所の親しみあるお子様でも、みなで揃って賑やかな食事が始まる。 「今日もクインさん凄かったんすよ。さすがリーダーエレメント! 柳田大佐と変わらずの的確さだったもんなー」
/1523ページ

最初のコメントを投稿しよう!