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「モヒートの材料をそろえるために、マーケットに一緒に買い出しに寄ったら、母さんに出会ったんだ。今日は心美もいる日で、三世代食事の日だから、ユキも来いって誘ったんだ」
「いいわね。エミルのモヒート。気温がすこし上がってきて、美味しくなる季節だものね。私も大好き」
「戸塚じいちゃん直伝だからな」
息子を片腕に乗せながら、片手にはマーケットのレジ袋。その袋を藍子に手渡してくれる。
「では。エミルパパが帰ってきたので、いまから一気にオーブンで焼き上げるわね」
ユキの分のスキレットもすぐに準備。鶏もも肉と美瑛産のズッキーニに玉ねぎ、ニンジンにじゃがいも、ローズマリーなどを盛り付けてオーブンへ。
料理好きな藍子のために、エミリオがけっこう大きなオーブンを備え付けてくれたのだ。海人が羨ましがるほどだった。このオーブンのおかげで、たくさん作れるのでいつでも人が増えてもへっちゃら。そのせいもあるのだろうか。ユキだけでなく、戸塚家にはよくお客様がやってくる。
頼もしい弦パパに会いたい男たち、エレンママの優しい言葉に癒やされたい奥様たち。そして、不惑の年齢を迎える信頼に値する男、戸塚中佐に心を委ねたい隊員たち……。朝田少佐自慢の手料理を楽しみに、戸塚中佐についてくる人々、などなどだった。
仕上げる藍子のそばで、制服姿のままの夫がモヒートを作り始める。
エレンママは、今日のサークルでつくってきた花束をフラワーベースに活けてくれている。
食卓はあっという間に出来上がった。
夫の両親、夫の同僚後輩、息子と、親愛なるフラワーガールちゃん。家族としても、仕事仲間としても、ご近所の親しみあるお子様でも、みなで揃って賑やかな食事が始まる。
「今日もクインさん凄かったんすよ。さすがリーダーエレメント! 柳田大佐と変わらずの的確さだったもんなー」
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