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20.サニーサイドアップの朝
突然、恋人のふりを始めてしまった戸塚少佐を官舎の自宅に泊めることになった。
さて、今夜はどうしたらいいかと藍子は唸る。
彼が珈琲のおかわりを望んだので、くつろいでいる少佐のカップにもう一度注いだ。
「アグレッサーのお仕事は大丈夫なのですか」
「うん。有休も溜まっていたからな。宮島に行ってみたいと思っていたんだ。明日は一緒に行こう。非番だろ」
「すっごい強引ですね。非番までつきとめて来られたんですか」
「この珈琲、美味いな。藍子、上手に淹れるんだな。美味い」
藍子を強引に振りまわすので諫めようとしたら、そうして誤魔化される。
「わかりました。明日、案内しますから」
「助かる。それに女の子と一緒の散策のほうが楽しいからな」
「私でなくてもよろしいでしょ。もっとかわいい女性、少佐がその気になればすぐに捕まりますよ」
「俺の見た目だけでそう思われること言われることが、俺は大嫌いだ。藍子はこっちから誘った。それは俺にとっては特別という意味だ。軽くはない」
うわー、またそうやって。綺麗な顔で、大人の低い声で、少佐の威厳で、さらっと言う!
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