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リビングに入って、出勤する時は締め切っているカーテンを開ける。瀬戸内の明るい春の陽射しがぱあっとリビングを照らした。
本当にシンプルに暮らしている。仕事に没頭したいため、余計なことを増やさないような生活に努めていた。
それでも戸塚少佐が『おおっ』と感嘆の声。
「ほんとうだ。綺麗に暮らしているな。シンプルでいい。それに……、やっぱり女の子の部屋だな。藍子の匂いがする」
私の匂いってあるのかと思いながらも、いつも険しい表情をしているクインさんがくつろいだ笑顔を見せたので、藍子もほっとする。
「そこのソファーか、ダイニングの椅子へどうぞ。珈琲と紅茶どちらがよろしいですか。冷たいお茶もありますよ」
「じゃあ、珈琲を頼む」
ダークブロンドの男がまさか自分の自宅にいるだなんて、そしてソファーに座ってしまうなんて。しかもこの部屋に男を入れたのは、祐也以外初めてだった。
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