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また……、威厳ある声で言われる。
「だが、いまのまま斉藤と相棒で居続けることは難しいな。時が満ちたんだ。こうなるところまで、もう来てしまったんだ。途中で解決出来ずにここまでな。なるべくしてなった状態じゃないか」
「さきほどの彼女が、私と斉藤が別々になるなら一緒についていくと言っているそうです。斉藤は彼女の希望を叶えようと、ペアを組み替えて欲しいと思うようになり、その希望が叶うかどうか部隊長に打診しています。私は……」
藍子はうつむく、フィルターから抽出される一滴一滴の珈琲を見つめながら。
「小笠原の話がなければ、もうペアを解消してもいいと思っていました。でも今回の話はペアで受けないと意味がありません。だから今度は反対するという……、一貫性のないことを斉藤に言ってしまいます」
「ペア解消まで来てしまったのに、最高の呼吸でキャリアアップのチャンスを掴んでしまったということか。なかなか皮肉なことだな」
「もしペアを組み替えてくれる希望が通っても、新部隊で望まれたペアになれるはずがありません。あの結果は斉藤と私のペアだったからこそなんです」
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