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「藍子、そこまで決意していたのか」
「潮時です」
「だが、このまま様子を見てもいいだろ。藍子に恋人ができてどう態度が変わるか俺も知りたい。ここがジェイブルー105の正念場だ。出来そうなことをやるだけやって見極めても遅くはない」
確かに。少佐の言うとおりだった。
珈琲が出来て、藍子はソファーにいる彼のところへ持っていく。
「あの、まさか今夜。泊まるところがないなんて言いませんよね」
「泊まるところはない」
もう確信犯でしょと言いたくなって、藍子はその言葉を飲み込む。
「ここに泊まるつもりですか」
「恋人同士に見せるには、俺を泊めたと思わせたほうがいいだろう」
その手に乗るか乗らないかを藍子も迫られている。
だが少佐が言うとおりに、藍子に恋人ができたとわかって、あの夫妻がどう変わるかは藍子も知りたかった。
「いまお座りのソファーがベッドになりますから」
「わかった。ありがとう。それで充分だ」
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