19.泊まるところはない

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「藍子、そこまで決意していたのか」 「潮時です」 「だが、このまま様子を見てもいいだろ。藍子に恋人ができてどう態度が変わるか俺も知りたい。ここがジェイブルー105の正念場だ。出来そうなことをやるだけやって見極めても遅くはない」  確かに。少佐の言うとおりだった。  珈琲が出来て、藍子はソファーにいる彼のところへ持っていく。 「あの、まさか今夜。泊まるところがないなんて言いませんよね」 「泊まるところはない」  もう確信犯でしょと言いたくなって、藍子はその言葉を飲み込む。 「ここに泊まるつもりですか」 「恋人同士に見せるには、俺を泊めたと思わせたほうがいいだろう」  その手に乗るか乗らないかを藍子も迫られている。  だが少佐が言うとおりに、藍子に恋人ができたとわかって、あの夫妻がどう変わるかは藍子も知りたかった。 「いまお座りのソファーがベッドになりますから」 「わかった。ありがとう。それで充分だ」
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