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「くんなよ、来るなよ。いま来たら、三十分で基地帰還は無理だろ。夕飯、間に合わなくなる」
相棒の奥さんは、根っからの女性であって、だからこいつは惚れに絆され結婚したと藍子は思っている。
女性らしいことこのうえないのは、女性ならこうして欲しいという要求が強い女性という意味。記念日は絶対、浮気はダメ、一年に一回の旅行も絶対。とにかくそういうことを夫に望む女性だった。
だから結婚記念日に夫が留守だなんてあり得ないため、本日の相棒は絶対に帰宅しないといけないことになっている。
相棒の斉藤祐也は藍子と同期生、一緒にパイロットになった。配属されたのも同じ岩国基地。配属された部署も二人で兼ねてから狙って希望してきた新飛行部隊『機動追跡隊』、同じ部署配属されただけでなく、同じ機体に乗ることになった。
普通は男性パイロットが操縦を担当して、細かなデータ収集などの機材操作は女性パイロットというのが多い中、藍子と祐也の場合は逆を担当するように命じられた。
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